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くまりはN!S!T!連載第19回「リフィーディング症候群とは?」
2024-04-25
カテゴリ:医療機関の方へ,くまりはNST!
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リフィーディング症候群とは?
リフィーディング症候群とは?
リフィーディング症候群(refeeding syndrome)とは、長期絶食(飢餓)患者や高度栄養不良状態の患者に対して急激な「refeed=再栄養」により水,電解質分布の異常を引き起こす病態の総称であり,心停止を含む重篤な致命的代謝合併症のことを言います。長く飢餓状態にある患者に対して、十分に栄養補給をしたくなるものですが、対策を取らずに再栄養を行うことで結果的に命を奪ってしまうという、非情な結末になり兼ねないのです。

リフィーディング症候群の歴史
 秀吉の「鳥取の渇え殺し」と呼ばれる鳥取城内の兵糧攻めが有名です。竹中重門の『豊鑑』には「糧尽きて馬牛などを殺し食いしかども、それも程なく尽きぬれば人の宍を食合へり…子は親を食し、弟は兄を食し杯しける」と記されるほど悲惨な状態で、それを見かねた吉川経家が自らの命と引き換えに兵や村民の助命を確約し鳥取城攻めは収束しました。秀吉は大釜で粥を炊き、餓えでふらふらになった者たちは粥を貪り食い、せっかく生き残ったのに死んでしまったと伝えられています。1)

リフィーディング症候群のメカニズム
人間の本来のエネルギー基質は糖代謝ですが、長期間の飢餓や重度の低栄養になると、細胞内の糖質やATP産生、電解質やビタミンが不足している状態です。
そこでエネルギーを作り出すため体蛋白質異化や脂肪分解が進みケトン体が主要エネルギー基質になり、飢餓や低栄養の状態に適応している状態となります。
この状況下で糖質を主要とした急激な再栄養(refeed)が行われると、インスリンが大量分泌され高インスリン血症となり、ATP産生のため大量のリンが消費され血中リン濃度が急速に低下し、同時に、細胞外から細胞内にK、Mg、ビタミンB1などが急激に移動し血中濃度が低下します。これにより心肺機能、神経系異常を引き起こし重篤な状態に陥るのです。

リフィーディング症候群の予防および治療
リフィーディング症候群を予防するためには、まずリスクのある患者を抽出・多職種で認識することが非常に重要です。図1そして図2 2)に沿って慎重に栄養管理を進めていきます。


文献
1) 鳥取の渇え殺しと三木の干し殺しで人肉の恐怖~人は飢えると獣になる - BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン) - 3ページ (bushoojapan.com)
2) Hisham M Mehanna, et al. Refeeding Syndrome : what it is, and how to prevent and treat it :BMJ 2008;336:1495-8. doi:10.1136/bmj.a301

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