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下肢救済センター

はじめに

 生活習慣病の増加に伴い、末梢動脈疾患(下肢の動脈がめづまりする病気)は着実に増えてきています。原因のほとんどは動脈硬化で、とくに糖尿病を合併した場合、その70%は膝下の動脈がめづまりします。重症化すると安静時の痛みや潰瘍・壊死を来たし、ひいては大切断(太ももやふくらはぎでの切断)にいたります。根底に動脈硬化があるので狭心症などの心臓病や脳梗塞などの脳血管疾患の合併が多く、その生命予後は胃がんや大腸がんより不良といわれています。《図1》

当センターの理念

 当センターでは、血管外科(血行再建科)と形成外科が連携して、この大切断を回避し患者さんがご自分の足で苦痛なく歩けることを目標に治療を行います。さらにフットケア外来にて、糖尿病合併の患者さんを中心に足を大切にするための具体的な指導を行います。
 ほかにも補助治療、特殊治療といったさまざまな治療法があります。これらは各々独立した治療ということではなく、互いに連携あるいは補完しあって、多くの場合同時に行われます。《図2》にはその集学的治療像を示しています。
 さらに再発予防として、全身管理としての禁煙やリスクファクターである糖尿病、高血圧、高脂血症などのコントロールが重要です。
 足を大切にして歩けるようになることで、生活習慣病である足の動脈硬化から逃れられるというわけです。

当センターでは下記疾患の治療を行います

適応疾患(手術治療・非手術治療)

【動脈疾患】
  • 末梢動脈疾患(四肢の閉塞性動脈硬化症、バージャー病)に伴う潰瘍、壊死
  • 糖尿病性足病変
  • 鼠径靭帯以下の拡張性動脈疾患(動脈瘤)
  • その他、主として四肢のすべての動脈疾患

【静脈疾患】
  • 下肢静脈瘤
  • 深部静脈血栓症

【リンパ管疾患】
  • 四肢のリンパ浮腫

【その他】
  • 嵌入爪、熱傷、足趾変形、タコ、ウオノメ、胼胝など 足のことでお困りの方

提携診療科

血行再建科(血管外科)
閉塞した主幹動脈の血行再建法である血管内治療(いわゆる風船治療)と、バイパス術を主とした外科的血行再建術(手術で別ルートを作成する治療)をともに同一の専門医師(血行再建医)が担当します。すなわち、低侵襲性を利点とする血管内治療と、開存性に優れる外科的血行再建術を的確に選択して適切かつ迅速な治療を行う診療科です。
形成外科
血行再建術後の潰瘍・壊痕の治療

【マゴット治療】
医療用の無菌ウジが壊死・腐敗組織を食べ、分泌物が創をきれいにする作用を利用して創傷治癒を図る治療法
【陰圧閉鎖療法(VAC治療)】
傷を密閉し専用の装置で吸引する事により傷に対して積極的な刺激を加える療法。
【高気圧酸素治療】
特殊な治療装置を用いて血液中の酸素濃度を高めて、末梢組織の低酸素状態を改善させる治療法

高気圧酸素治療には以下の効果があります。
  • 十分な酸素供給による組織の低酸素改善
  • 血管収縮による浮腫の改善
  • 活性酸素の産生による静菌作用
  • 好中球※の活性化(※白血球の一種:減少症が重症化すると細菌や真菌感染のリスクが高まる)
  • 線維芽細胞の活性化
  • 血管新生作用
再生医療センター
再生医療等安全性確保法に従い、厚生労働省九州厚生局への手続きと審査により、患者様自身の脂肪より採取した「脂肪組織由来再生幹細胞群(ADRCs:Adipose Derived Regenerative Cells )」を用い、重症虚血肢、脊髄損傷、脳卒中後遺症、変形性膝関節症への再生医療を行っております。
フットケア外来
間欠性跛行(かんけつせいはこう:歩くと足が痛くなる症状の事)、足の冷感、しびれ、安静時の痛み、足の難治腫瘍、壊死などあればお気軽にご相談ください。
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