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くまりはN!S!T!「令和6年度診療報酬改定」で取り上がられた栄養関連のトピックス
2024-06-13
カテゴリ:医療機関の方へ,くまりはNST!
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①初めての世界基準の低栄養診断:GLIM基準
吉村医師:新年度になりました。
米田管理栄養士:2024年です。
吉村:米田くん、2024年度もNSTとサウナをよろしくお願いします。
米田:サウナはいいです。病院の誰も知りません笑。先生、令和6年度診療報酬改定では栄養関連でいくつか大きなテーマが取り上げられました。
吉村:適度なサウナは健康に良いといわれています。ところで、今回の診療報酬改定で取り上げられた栄養関連のテーマで話題になっているものにどのようなものがありますか?
米田:GLIM(Global Leadership Initiative on Malnutrition)基準が入院患者の低栄養診断に標準的なものとして取り上げられました。
吉村:GLIM基準とはどういうものですか?
米田:GLIM基準は初めて世界基準で提案された低栄養の診断基準です。3つのステップがあります。ステップ1が「栄養リスクスクリーニング」、ステップ2が「栄養リスク症例に対する低栄養診断」、ステップ3が「低栄養と診断された症例に対する重症度判定」になります(図1)。
吉村:GLIM基準が提案された背景には、医療における低栄養の問題が世界的に認知されたことがあります。疾患や外傷の治療後に栄養状態悪化に陥る「疾患+治療関連の低栄養」も課題としてGLIM基準が考案されました。
米田:筋肉量の測定はどうしたらいいですか?
吉村:InBodyなどの生体インピーダンス分析を用いるとより正確ですが、ルーチンに数多くの患者に対して用いるのには限界があります。あくまで栄養評価の一環として下腿周囲長の評価も筋肉量評価の代用として推奨されています(図2)。
米田:なるほど。下腿周囲長ならメジャー一本で大丈夫ですね。日本人の基準値もありますし。
吉村:GLIM基準では「すべての対象者に対して栄養スクリーニングを実施し、栄養リスクのある症例を特定し、遅滞なく適切な栄養介入を行うこと」が期待されています。GLIM基準で重度の低栄養と診断された場合には、NSTなど多職種チームで栄養評価と治療について検討することが求められています。
②リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算
米田:また、急性期の入院病棟単位の加算ですが、「リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算」(1日につき120点)が新設されました。
吉村:医療費抑制の大波の中で、新しく医療行為に点数がつくのは大きな意義があると思います。国の形作りの目標である「骨太の方針2023」でもこのテーマが閣議決定されて明示されていますので、積極的にこの加算を取得して医療体制を充実させていきたいところです。この加算、具体的には?
米田:急性期病棟への入棟後「48時間」以内に患者のADL、栄養・口腔状態を同時に評価し、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理を一体的に行うことを新加算では評価しているものと思います(図3)。
吉村:そうですね。背景には、急性期医療によりADLが低下して要介護になる高齢者が増加している事実があるようです。急性期医療におけるADLが低下しないための取り組みを推進するとともに、三位一体の連携と推進を図る観点から、土曜日および日曜日、祝日にかかわらずリハビリテーション・栄養管理および口腔管理を積極的に行うことが求められています。
米田:より早期からの切れ目のない三位一体の取り組みだけでなく、多職種による評価と計画も大事ですね。
吉村:大事です。もちろん、この連携は急性期病棟だけでなく通所系サービスや介護保険施設、在宅などの生活期でも重要です。
米田:管理栄養士として栄養の重要性がますます認知されてきてうれしい反面、責任の大きさも実感しています。
吉村:米田くん、期待していますよ。週3回のサウナ通いもいいですが、病院や在宅での栄養管理も充実させていきましょう。
米田:サウナはもういいです。


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